2014年3月12日水曜日

捏造なのか

理研の小保方さんの論文が捏造じゃないか疑惑がだんだんと捏造っぽいという感じに傾いてきて、今日現在では捏造じゃないなんて言おうものなら袋叩きにあいそうな感じです。
Natureに一度リジェクト、不可判定を貰ったものを数年かけて手直しして掲載に至ったということだっと思いますが、捏造に情熱というか時間や力をさくものなのかなぁと思ってしまいます。
ただ、世の中には捏造した結果でNatureに5報、Scienceに8報掲載された人がいます。
ヘンドリック・シェーンという、当時ベル研究所にいた人です。

ちなみにNatureとScienceにCellをたした3つの雑誌が3大科学誌とされ、NatureとScienceは自然科学全般を扱いますが、Cellは生物とか医学系を扱います。
なので私はCellは読んだこともないし、手にとったこともないし、参考文献でもCellの名前を見たことがありませんが、この3つの雑誌に論文が掲載されるというのは、たとえ一報でも、凄い事です。
大学の専門で使うような教科書を書き換えるくらいの事です。
私がいた研究室ではNatureにリジェクトされた論文はその後別の雑誌に掲載され、その数年後にはそのジャンルの教科書に記載されていますので、Natureに掲載されるってのはすごい事なのです。

ヘンドリック・シェーンという人に戻ると、捏造した論文が査読、審査をすり抜けることが出来た要因の一つは共著者、共同実験者がその道の権威であったからと言われています。
さらに、業界の流行りに乗ったってのもあるような気がします。
フラーレンとか高温超伝導とか。
あとは研究室をベル研究所以外にももっていて、あっちの研究室でやったからこっちにデータが無いとかサンプルが無いとか、そんな感じでのらりくらりとやり過ごしていたようです。
今回はそういうのとは違うような感じです。
1回蹴られた内容で、その時のジャッジには冒涜しているとまで書かれたそうですから、それを説得力のある論文にしたのだとすれば、かなり理詰めのものなのでしょう。
件の論文は読んでいないし、読んでもわかりませんが。

教科書が書き換えられるどころか、教科書そのものがひっくり返るような発見の場合、かなり慎重に詰めていかないと、まず論文は掲載されないと聞いたことがあります。
某先生が偶々あり得ないことを発見した時、信頼できる人に聞いて回って、かなりの時間をかけてディスカッションして、ようやく論文にしたとか。
冒涜しているとか言われるような内容を説得力のあるものにしているわけですから、今回もそれなりの内容だと思うのです。
それが全くゼロからの捏造なのか、イマイチよくわからない不十分なところを取り繕ったのかわかりませんが、どうなんでしょうね。

ネットの記事を見て、ヘンドリック・シェーンの事が挙げられていないのが気になって書きました。
アメリカの名門ベル研究所と日本の名門理研とで似たようなところがありそうな気がするのに、なんで言及されないのかなぁと思うのです。
大事件だったと思うのですが、専門が違う人には知られていないのかもしれませんし、大した事だと捉えられていなかったのかもしれません。

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