2013年12月15日日曜日

篠山紀信展 写真力を見てきた

新潟県立万代島美術館で開催されている”篠山紀信展 写真力”を見てきました。
熊本ではじまり、東京のオペラシティへ行って、1年たってようやく新潟に巡回してきました。
初日に篠山紀信と金森穣のトークショー的なやつがあったので、それを聞いてから見ました。
ちなみに金森穣は新潟市おかかえの舞台芸術監督です。
トークショーはすごく面白い内容でしたが、その中ででてきた中から展示についていくつか。
万代島美術館の壁面の長さは巡回の中でも1番か2番目に長くて、そのためシノラマを段組にせず展示できた。それは万代島美術館だけ。
そのシノラマは幅9mくらい。
私はこのシノラマが好きなんですが、これだけ大きいサイズで見ると、これまで両観音開きで見たものと印象が全く違う。
作り物っぽさが強調されます。
撮影裏話的なことがいくつか。
それを知ると写真の見え方がガラッと変わるようで、嘘の嘘を写すという篠山紀信っぽさが楽しめます。
この、嘘で嘘を写すというのは篠山紀信の写真には欠かせないものなので、常識というか先入観に囚われた見方と、先入観を否定する見方で写真を見てみたいところです。

篠山紀信は美術館で自身の写真を展示してこなかったのですが、もっと早くから大きく伸ばして展示していたらグルスキーにでかい顔させなかったんじゃないかなぁと思うともったいないような気もするし現代美術の文脈を変えていたでしょう。
しかし篠山紀信の話を聞いていると、今になって幅9mととてつもなく大きく伸ばすことで当時の写真を改めて現在のものに仕立て直したような気がして、これでいいのかなぁという気もします。
そして2011年の震災の被災者を大きく伸ばした写真が最後にあるのですが、これがものすごくいい。
その良さというのは被災したからこそあるものかもしれないわけで、被災していない自分がそれを単純に良いものだと評価するにはためらいというか、後ろめたいというか、なんとなく申し訳なく、悪いような気がするのですが、それでもよい。
その良さというのは被災したことで露わになった人間らしさみたいなもので、中越地震・中越沖地震を経験した新潟県知事に言わせると絶望から希望が立ち上がるってくるところが写っている。

篠山紀信は嘘を嘘として撮ることに長けた写真家ですが、ドキュメンタリー的というか、ストレートな感情に化粧をする上手さがあります。
長嶋茂雄や江川卓など、アスリートを撮った写真にもそういったところがあります。

舞台上の徹底的に演じた顔も、素直に肉体的な苦しむ姿も同じように嘘のように撮ってしまうところに写真の面白さを展開できる写真家が篠山紀信なのだとよくわかる写真展です。